タフガール | 第8話 癒しの音色

Tina は落ち込んでいます。

「あ〜頭イタイ」

飲みすぎて、二日酔い。

上官のいうことが正しい。ロミオとのつきあいは控えよう。

気晴らしに、港にきてみました。

しばらく一人で考えます。

彼女の心理状態なら、この場所でひとりたたずむのが似合う。

めったにこない場所だけど、ここから街を眺めるのも風情があっていいかも。

あーっ、モヤモヤがおさまらない! 

もう泳いで帰ろっと。

衝動的に、こんなことがしたくなりました。

ちょうどライトアップされました。きれいです。なんだかふっきれました。

そのあとはスポーツバーへ。シャワーがあって着替えられたことにしよう。

 なぜか今頃、バーテンダーのリッキーとハートが飛びました。ちょっと元気でたかも。

リッキーはお調子者な感じで、口説き方がさわやかです。Tina も笑顔になりました。

食欲はあるからしっかり食べて。

仕事、やめようかなあ… なんてブツブツ迷ってます。やめないけど。

仕事に専念しよう。

しばらくはユニフォーム姿に戻って、現場の勤務になりました。

心機一転、引越しをすることにしました。貯金はあるので、リフォームして、窓も大きく。

全部ぶち抜いて、いちからコーディネートしていきます。

職場も近いし街中の高層ビルで、景色が変わります。

新しい部屋にワクワクしてきました。

この部屋、最初はこの状態だったんです。これだと薄暗いのよね。

これを、

どーん。と、ぶち抜いてサラにするって、気持ちいい。

気分もリセットできました。

グランドピアノを置きました。

いつかのピアニストくんが遊びに来てくれたらいいな、と、心のどこかで思い出しています。

また、彼のピアノを聴きにきました。

彼の静かなメロディが安らぎます。

「弾いてみますか ?」 と声をかけられました。

実は Tina も意外と上手。

ピアニストくんが目を閉じて静かに音を聴いています。

「あのお客さん、どういう人なの ?  上手に弾いてるけど」

「彼女は捜査の仕事で必要だからって、何でもひと通りできるのよ」

「 CIA みたいな人 ?」

「あっ、いけない、バラしちゃだめね。今の話は内緒よ」

ピアニストくんの心にも、何かが響いたようです。

つづきます  >> 第9話 これからもいい関係で

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