究極のカクテル | 第19話 サプライズがおきます

なんだかいいムードになってきました。しかもいいかんじに夕日が落ちてきます。

ミックが思わず迫った無骨な行動が、 ケイトリンには逆に新鮮だったようです。

普段は話上手で落ち着いて、なんでも対処できそうな彼なのに、彼女の前では不器用になるところが、よかったのかもしれません。

ケイトリンのふきだしにポッとこのマークがでました。

「もう恋人になっちゃう ? 」

からかうように、ストレートに聞いてきます。いま彼女の方が誘惑的。どんどん盛り上がっています。

ミックの目がもうウルウルして、かわいい・・・よし、このまま行こう ! 

このまま、ミックは突き進みます。がんばれミック。この時点ではまだベストフレンドの関係だけど、

このあとチュッとして・・・

わお、タワーの夜景が素敵。一応ねらってこの場所を選んだけど、ロケーションばっちりです。

こんなロマンチックな場所なら、たいていの女性は OK しちゃうでしょう。だから、

このままサプライズ、いきます。

「えっ、なに ? 」

ケイトリンはかなり驚いたと思うな。さっきまで友達だったのに。

「ええっ、いつのまに用意してたの ?」

「一年も前からずっと持ってたんだよ。受け取ってくれる ?」

このムード、この景色、これで NO は言えません。

あまりにサプライズすぎて、彼女は魔法にかかったようにスッと手を出したと思う。

きっと二人三脚で、うまくやっていけそう。

ミックは科学者だけど、天文学も詳しくて、空を指差してあれこれ知識を披露しているんじゃないかな。彼のイメージが湧いてきます。

「星はエトワールっていうんだよ」

ケイトリンは夜空をみながら、きっとカクテルの新しい名前を考えているでしょう。

宿舎に戻りました。暖炉の部屋が居心地よくて、ホッとしました。

さっきまで友達だったのに、いきなりフィアンセの関係になるなんて大躍進です。

二人とも、夢を見ているようです。

ネクターも作れるようになったし、帰ったらやることがいっぱいです。

ブリッジポートに戻ったら・・・

現実が待っています。どうなるんだろう。

「リッキーのことは大丈夫かい」

「たぶん、大丈夫と思う。ちゃんと話し合うわ」

次の課題はリッキーとの今後です。なんて言おうか。

少し不安を抱えながら帰国します。

ブリッジポートに帰りました。景色が変わると、本当に旅行から戻った ! って実感がわいて、時差ぼけ気分になりました。

家に着きました。 リッキーはちょうど仕事にでかけたところです。

「リッキーが納得するまで話し合うんだよ。俺はしばらく連絡しないから、当分は今まで通り生活してていいからね 」

そういって、ミックも仕事に出かけました。

(ミックはここでいったん世帯を切り離して家に帰します。世帯は元に戻り、またリッキーとケイトリンの二をコントロールしていきます)

リッキーが欲しがっていたリキュールとネクターを抱えて、彼のお店に持ってきました。

彼女がちょっと興奮気味に、旅行の話をペラペラしゃべっています。ワイナリーのことや、景色がよかったこと、お土産話をいろいろ。

リッキーは、だまって話を聞いていましたが、

すぐに見つけてしまいました。

ケイトリンが話に夢中で振り回す左手に、旅行前にはつけていなかった新しい腕時計と、リングがキラリ。

このリッキーの顔、たまりません。なんとも言えない表情です。

今回の旅行で何が起こったのか、すべてを悟ったように見えました。 

「あっ…  気がついちゃったかな」

ケイトリンも、ハッとしました。

タワーのデザインがついた、フランス製の時計。ミックが旅行中にお店で買ってくれたプレゼントです。

しばらく沈黙が続きます。

もう、引き返せないよね、って顔をしています。

どう話せばいい ? 

「話があるんだけど・・・」

と、ケイトリンは切り出したけど、

「わかったから、言うな」

と、低い声で一言だけ。

また沈黙が続きます。

二人でしばらく飲みました。

「このネクター、若いけど、味はまあまあだな」

「でしょ、もっと熟成すれば、いい味に変わっていくわ」

うつむいて、また黙っています。なんて切ない顔をするんだろう。

(これ偶然です。この顔、たまりません、もう胸キュンがとまらずキュン死にしそうでした)

「オレが師匠なのは変わらないんだから、これからもオレのこと尊敬しろよ」

と、最後は笑っていつも通りに戻ったことにします。

これらのシーン、ポーズでもなんでもなく、本当にリッキーの自然の動きからうまれた表情です。

これでもかというくらい、いい顔をしてくれて、切なく感動しました。

つづきます >> 第20話 ついに独立、リッキーの腕まくら ( Ricky’s Arm )

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